階段の段数を数える
階段を数えろと母は言う
今回は母に企画を考えてもらうのだ。電話でその旨を説明したところ「今すぐには思いつかないからあとでメールする」とのこと。いま風の返事である。「絵文字も使えるようになったしね」だそうだ。それは企画に関係ない。
そしてその晩、母からメールが届いた。
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母の意外なフェティッシュな癖に驚く。階段の数を数えるのか…。大変なわりには地味な記事にならないだろうか。心配ではあるがそれが今回の企画だ。
舞台は渋谷
ひとつの駅を選んでその駅にある階段を片っ端から数えてみることにした。ターゲットは渋谷にした。まずは山手線を降りて外回りホーム(2階)から中央改札(3階)に向かって階段を上る。上りながら数える。1、2、3…。母はいつもこうしていたのか。
外回り)下から17段、踊り場、14段。合計31段。
31段かー。31段ね。31なのか。数字をかみしめるが特に感慨深くはならなかった。中央改札からこんどは隣の内回のホームに降りてみる。14段、踊り場、18段。合計32段。あれ?1段多い。間違えたかと思ってもういちどホームから登ってみる。
内回り)下から18段、踊り場、14段。合計32段。
やっぱり1段多い。同じ山手線ホームの階段でも内回りと外回りで段数が違うのだ。内回りのほうがカーブの内側にあるために低いのだろうか。渋谷の谷に近いからかもしれない。渋谷川が流れているところが谷だとしたら内回りはそこに近い。なるほど。
! しまった、おもしろい。おもしろいぞ、階段数え。
外回りの南改札がねらい目!
興に乗ってホームの階段をすべて調べてみた。結果はこの通り。
ばらばらである。内回りと外回りでも違うし、改札の場所によっても階段の数が違う。渋谷から山手線に乗るときは恵比寿側の改札(南改札)の外回りに乗ればいちばん少ない階段ですむのだ。行き先が違うときは仕方ないけど。
地下街へ続く階段はどうか
渋谷のスクランブル交差点の下には地下商店街がある。交差点周辺には8ヵ所、地下につながる階段が点在している。その階段の段数もまた山手線のように違ったりするのだろうか。

マウスオーバーで地下の地図になります。
こうやってみると地下への入り口だらけだ。ゲームだったら正しい入り口はひとつだが、渋谷の地下街はそんなこともなくどの入り口もただしく地下街につながっている。そしてこの地図を描くのに3時間、階段の数を数えるのに2時間かかっている。では結果発表です。
みごとにばらばら
予想を上回るばらばらぶりだ。渋谷が坂道で構成されていることがよくわかる。もっとも少ない段数で地下に降りられるのは27段、コージーコーナーの前の入り口である。
ここが穴場だ!
興味深いのは通路の突き当たり、左右の階段で数が違う場所があることだ。どちらを選ぶかでまさに天国と地獄である(言い過ぎであることはわかってます)。たとえば井の頭口。
こんなに近くて2段の差
賢明な読者諸兄ならばどちらの階段を使うかは明らかであろう。
気持ちいい段数と気持ち悪い段数
最後に気になった階段をふたつ紹介したい。
気持ちいい踊り場
階段の段数を調べていたら気になる物件をふたつ発見した。上記の渋谷の地下街につながる39段の階段。多い。多いのだが、踊り場がきっちりと 13階段ごとにあるのだ。

均等に分けられた階段と踊り場。美しい
ほかの階段はすべて踊り場の前後の段数がまちまちであったが、ここはぴったり13段ごとに踊り場がある。激レア階段である。まさに踊りたくなる階段である。
気持ち悪い踊り場
銀座線は地下鉄でありながら地上三階から出る。そこに行くための階段が奇妙なのだ。
ひとつだけ17階段がある。
地上→16段→踊り場→17段→JR改札→16段→踊り場→16段→銀座線。あのひとつの階段が、いち段すくなければ気持ちよかったのに。なぜ。
銀座線に乗る気持ちも暗くなるというものである。
母とマニアな会話ができた
疑心暗鬼で始めた企画であったが、あっというまに階段の数のとりこになってしまった。ミイラ取りが即ミイラである。母に報告してみたい。
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すっかりマニア同士の会話である。段数マニア。この年にして母と共通の(ものすごく狭い)趣味ができたのはすなおに嬉しい。階段を上り下りしたせいで疲れて早く眠れたのも収穫であった。
ものすごく数えてみたくなる
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